


もの忘れ?ケモブレインに悩む患者に家族ができること。
ケモブレインとは
ケモブレインは、がんの化学療法やホルモン療法を受けた患者さんに見られる「記憶力・集中力・思考力」などの低下症状を指します。この症状により、自分は痴呆症になったのかと不安に思うがん患者さんがいます。
ケモブレインのやっかいなところは、ケモブレインという言葉自体があまり知られていないということと、詳細や治療法についてまだ分かっていないところです。(2025年8月現在)
多くの場合は一時的ですが、治療後も続くことがあります。患者さん本人も戸惑いや不安を感じやすいため、家族の理解と支えがとても大切です。
参考:「がん情報サービス」
記憶・思考・集中力などへの影響
https://ganjoho.jp/public/support/condition/cognitive_decline/index.html

もの忘れについて、がん患者さんが感じていること
①記憶や集中に関する不安
- 「さっきの話をすぐ忘れてしまう…」
- 「買い物に行っても、何を買うのか思い出せない」
- 「本や新聞を読んでも頭に入らない」
②仕事・生活への影響
- 「このままでは仕事に戻れないのでは…」
- 「家事や予定管理ができなくなってしまうのでは…」
- 「車の運転が不安」
③人との関わりに関する不安
- 「人の名前が出てこなくて恥ずかしい」
- 「話の流れについていけず、疎外感を感じる」
- 「周囲に迷惑をかけてしまうのでは…」
④将来への不安
- 「この症状は一生続くのではないか」
- 「認知症になったのかもしれない」
- 「家族に頼らないと生活できなくなるのでは」
※SNS・ブログに投稿されいるものを参考にしています。

家族が気を付けるべきこと
1.責めない・焦らせない
「どうして忘れたの?」と問い詰めるのではなく、「大丈夫だよ」「一緒に思い出そう」と安心させる声かけを心 がけましょう。
2.生活の工夫をサポートする
- メモ帳やスマホのリマインダーを活用する
- カレンダーに予定を書き込む
-
家の中で物の置き場所を決めておく
など、記憶を助ける工夫を一緒に実践すると安心です。
3.休養とリズムを大切にする
十分な睡眠や休息は集中力の回復に役立ちます。無理のない生活リズムを保てるように、家族も協力しましょう。
4.医師に相談する
症状が長引いたり日常生活に支障が出ている場合は、必ず主治医に相談してください。医療者と一緒に対策を考えることが大切です。
5.気持ちに寄り添う
「忘れてしまう自分」を不安に思う患者さんも少なくありません。イライラや落ち込みが見られたら、共感しながら安心感を与えることが支えになります。

ケモブレイン、家族のためのチェックリスト
接し方
- 忘れたり間違えても 責めない
- 「一緒に思い出そう」と 安心できる声かけをする
- 焦らせず、ゆっくり待つ
生活の工夫
- メモ帳やスマホのリマインダーを活用
- カレンダーに予定を書き込んで一緒に確認
- 家の中の物の置き場所を決めて、分かりやすする
休養と生活リズム
- 睡眠時間をしっかり確保する
- 休憩をこまめに取るようにする
- 無理のない生活リズムを一緒に作る
医療との連携
- 症状が長引いたり困っているときは医師に相談する
- 医療スタッフからのアドバイスを取り入れている
気持ちのサポート
- 「忘れても大丈夫」と患者に伝えて安心させる
- 不安や落ち込みがあるときは患者の話を聴いてみる
- 患者が一人で抱え込まないよう、支え合う姿勢を伝える

「がん患者の物忘れとケモブレイン」はいかがでしたか?
冒頭でもあったように、ケモブレインという言葉自体がまだ広く知られていないようですので、不安を抱え込んでしまう患者さんや、ご家族がいらっしゃるようです。
まずは主治医に相談することをお勧めいたします。主治医がケモブレインに無知な場合は、病院の薬剤師や認定看護師に聞いてみるのも良い方法だと思います。

書いた人のコメント
がん家族セラピストとして、がん家族さんに有益な情報がいきわたればいいなと思っています。
文 酒井たえこ
著作/制作 一般社団法人Mon ami
文章やイラスト・添付物を複製・コピーすることを禁じます。
イラスト Canva ai

コメントをお書きください